てくなべ (tekunabe)

ansible / network automation / 学習メモ

[Ansible] 2023年の Ansible 関連リリースや動向まとめ

この記事は Ansible Advent Calendar 2023 の 24日目の記事です。

はじめに

2023年も例年通り ansible-core や AAP (Ansible Automation Platform)がバージョンアップされました。

他にも、生成AIの波が本格化してきたり、EDA(Event-Driven Ansible)が GA されたり、公式ドキュメントの管理方法が変わったりなどの動きもありました。

この記事では、個人的にポイントだと思った Ansible 関連リリースや動向をまとめます。

2022年版はこちら

リリース

AAP 2.4 リリース

今年は AAP (Ansible Automation Platform) 2.4 がリリースされました。含まれる Automation Controller のバージョンは 4.4 系。

後述する EDA(Event-Driven Ansible)が入ってきたのが特徴です。

ほかにも Molecule 6 が developer preview 扱いで AAP に入りました。

Ansible Molecule 6 is now available as a developer preview with Red Hat Ansible Automation Platform.

Introducing Ansible Molecule with Ansible Automation Platform | Red Hat Developer

EDA(Event-Driven Ansible)が GA

今年リリースされた AAP 2.4 に EDA(Event-Driven Ansible)が含まれるようになりました。

イベント(ログに特定の文字列が含まれていたら、など)をトリガーとして Playbook を実行する仕組みで、人が介在しない世界観の Ansible です。

EDA という言葉自体は 2022 年からあって、ソリューション名というか総称のようなものだと思います。当時は具体的なモノとしては ansible-rulebook という CLI ツールしか見当たりませんでした。

今回は、ansible-rulebook を Web GUI から操作できる EDA Controller というモノが追加されました。ansible-playbook と Auotmation Controller の関係と同じですね。

なお、AAP 2.3 では Preview 扱いでした。

rheb.hatenablog.com

www.ansible.com

tekunabe.hatenablog.jp

Red Hat Ansible Lightspeed with IBM watsonx Code Assistant が GA

生成 AI によって Playbook 作成を効率化する Red Hat Ansible Lightspeed with IBM watsonx Code Assistant が GA になりました。

cloud.watch.impress.co.jp

去年あたりまでは Project Wisdom と呼ばれることがあり、preview 段階を経て今に至りました。

以下の公式記事によると、

Red Hat Ansible Lightspeed は現在、Ansible Automation Platform のサブスクリプションで一般提供されており、IBM watsonx Code Assistant は別途購入できます。

とのことです。

Red Hat、AI主導のエンタープライズIT自動化を実現するRed Hat Ansible Lightspeed with IBM watsonx Code Assistantを発表

rheb.hatenablog.com

AAP 1.2 のサポート終了

2023年9月29日 に「Maintenance support 2」も終りを迎えました。

access.redhat.com

「Extended life cycle support (ELS) add-on 」が新設されたようですが、一定の条件があるようです。

ansible-core 2.14.0 以上が要件のコレクションが続々と

様々なコレクションで、ansible-core 2.14.0 以上を要件とする動きがでてきました。

例えば以下のコレクションです。

ansible-core 2.15 / Ansible 8リリース

2023年5月に、ansible-core 2.15 系がリリースされました

Ansible Community Package (pip install ansible でインストールされるもの) としても、ansible-core 2.15 系を含む バージョン 8 が続いてリリースされました。

ansible-core 2.15 の特徴は、vars 直下にリストで変数定義するほう方法が非推奨になったことかなと思います。

tekunabe.hatenablog.jp

サポートされる Python のバージョンには変化がないため、比較的インパクトは小さめと捉えています。

ansible-core 2.16 / Ansible 9リリース

2023年11月に、ansible-core 2.16 系がリリースされました。

Ansible Community Package (pip install ansible でインストールされるもの) としても、ansible-core 2.16 系を含む バージョン 9 が続いてリリースされました。

ansible-core 2.16 の特徴は、サポートされる Python のバージョンが引き上げられたことです。

  • コントロールノード(Ansibleをインストールするマシン)での Python 3.9 サポートの削除
  • マネージドノード(自動化対象のマシン)での Python 3.5 サポートの削除

なお、2024年リリース予定の ansible-core 2.17 では、マネージドノード側の Python 2.7 サポートが削除される予定です。サーバーを自動化対象にしている場合は、影響がそれなりにあるかもしれません。

サポートされる Python のバージョンは、以下の「ansible-core support matrix」という表がわかりやすいです。

docs.ansible.com

ansible-builder 3.0.0 リリース

1系から2系を飛ばして 3.0.0 がリリースされました。

github.com

大きく変わったのは、ベースイメージとしてバニライメージ(ここでは ansible が入ってないイメージのこと)を選択できるようになったことです。

execution-environment.yml というビルド定義ファイルのフォーマットは version: 3 が最新になりました。

自分で明示的に指定するものが増えた傾向にありますが、柔軟さは増しました。

関連しますが、quay.io/repository/ansible-runnerメンテナンスされなくなりました。

コミュニティ・ドキュメント

Ansible Galaxy がリニューアル

Ansible Collection の確認、公開、ダウンロードができるサイト、Ansible Galaxy がリニューアルされました。

galaxy.ansible.com

個人的には、バージョンごとにドキュメントを切り替えられるのが便利になったなと思います。

tekunabe.hatenablog.jp

また、リニューアル後はしばらく https://galaxy.ansible.com/ansible/utils のような旧サイト形式のコレクションの URL が自動リダイレクトされず少々不便でした。現在は https://galaxy.ansible.com/ansible/utils であれば、https://galaxy.ansible.com/ui/repo/published/ansible/utils/ にリダイレクトされます。

なお、旧サイトは現状 https://old-galaxy.ansible.com/ で参照できます。

Ansible 公式ドキュメントの管理リポジトリを本体から分離

これまで、ドキュメントは本体と同じく、ansible/ansible というリポジトリdocs ディレクトリを中心に管理していました。

今年、本体から分離しようという提案があり、ansible/ansible-documentation に分離されました。

Ansible Community Forum 公開

Community としてコミュニケーションできる新たな場として、Forum が公開されました。技術的な Q&A やディスカッション、イベント情報などがあります。

forum.ansible.com

私も質問したら回答していただいて、関連したドキュメント追記の PR まで出していただいて、大変有用な場として活用させていただいています。

自己紹介スレッドもあります。

(宣伝)Ansible実践ガイド 第4版[基礎編]が発売

共著で携わった「Ansible実践ガイド 第4版[基礎編]」が2023年6月に発売されました。

book.impress.co.jp

入門者向けに内容を見直し、ボリューム(と価格)を抑えつつ、ansible-core 2.14 に対応しました。

techblog.ap-com.co.jp

おわりに

2023年の Ansible 関連の気になったリリースや動向をまとめました。

大きなリリースもあったり、コミュニティのフォーラムができたり動きがあった一年だったなとふりかえって思いました。

2024年は Lightspeed の強化があるのではないかなと予想しています。ほか、ansible-core 2.17 でのマネージドノードの Python 2.7 サポート削除や、AAP としての molecule の動向も気になっています。