てくなべ (tekunabe)

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書籍『インフフラ/ネットワークエンジニアのためのネットワーク「動作試験」入門』がもはや「先輩」だった

はじめに

『インフフラ/ネットワークエンジニアのためのネットワーク「動作試験」入門』を読みました。とても良い本でした。

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(電子版が試し読みできます)

なかなか扱われることの少ない動作試験に絞った書籍であることと、「インフラ/ネットワークエンジニアのためのネットワーク技術&設計入門 第2版」や「インフラ/ネットワークエンジニアのためのネットワーク・デザインパターン」など素晴らしい書籍の著者である、みやたひろしさんの書籍であるという点で、とてもたのしみにしていました。

ポートの状態などを確認する単体試験、機器を接続してルーティングなどを確認する結合試験、冗長機能が正常か確認する障害試験、ほか性能試験や長期安定試験について、考え方や手順などが書かれています。

初学者の頃に、現場の先輩に試験の方法を教えてもらい「こういうのありがたいなぁ。あまり書籍に載ってないし。」と思っていたことが、この書籍に載っている、そんな感覚を得ました。

現場目線のノウハウが詰まっていて、書籍の存在が頼れる先輩のように思いました。

特に個人的に刺さったポイントをまとめます。

これまでの個人的な経験としては、こういうのは何かを読んで学んだというよりは、現場で教わったり、失敗してから気づいたりしたことが多かったです。

コマンドレベルの詳細なサンプル

本書では、機器を絞って説明がされています。L2スイッチやルーターCisco IOSファイアウォールCisco ASA、負荷分散装置は F5 BIG-IP です。

絞ったことによって、確認すべきコマンドが具体的に示されています。どういう試験で、どういうコマンドを実行して、どこを見ればよいかかまで書かれています。

他にも、試験に使うツールやコマンドとして、curltelnet、nc、wireshark、ExPing なども登場します。

試験に失敗した時の確認ポイント

「設計どおりの状態になっていない場合」のように、試験に失敗したときに、どいう観点で確認していけばよいかも書かれています。

仕様だけでなく「手順」や「段取り」も

技術的な仕様の説明だけでなく、いざ業務で直面したときに必要になる「手順」や「段取り」についての言及がよくありました。

たとえば、

  • サーバー負荷分散試験の段階ではサーバーが用意できてない場合も多いので、試験用端末で仮試験を (P99-100)
  • 障害試験でスタックの復旧試験が完了したら、スタップグループ全体を再起動してアクティブを戻すこと (P217)

また、段取りとは少し違うかも知れませんが、インターフェース試験のところで、ポートの抜き差しするために使わなくなったLANケーブルの片方のコネクタの爪を追って・・(P44)と筆者の経験が書かれていました。私もそうやって教わったなぁと思い出しました。

業務上必要な優先度や合意

時間に限りがある中で試験で品質を上げるためには優先度を考える必要があります。

本書では、障害試験ではもちろんすべての箇所を試験するのがまずベストであるとしつつ、時間がない場合は優先度の高い箇所を選択していきましょう、とあります。その際の考え方についても載っています(P191-192)。

おわりに

経験や口伝だけで成り立っていたかもしれない試験に関するノウハウが、ここまで書籍にまとまっているのはとても価値のあることではないでしょうか。

教わる側、教える側の双方にとっても助けになる一冊だと思いました。

あと、のど飴のくだり、笑ってしまいました。

参考

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