てくなべ (tekunabe)

ansible / network automation / 学習メモ

Red Hat Summit: Connect 2024 参加レポート

はじめに

2024/10/17 に東京の虎ノ門Red Hat Summit: Connect 2024 が開催されました。

www.redhat.com

拝聴したセッションや、ブースでお伺いした話などをまとめます。

Ansible Lightspeedを活用したPlaybook開発

生成AI で Playbook を作成できる「Ansible Lightspeed with IBM Watson」を検証して分かった、最適な使い方などのお話がありました。

プレゼンのポイントをまとめます。

  • 導入の背景
    • 初心者は Ansible への心理的なハードルを感じていた
    • そこで Ansible Lightspeed を導入することに
  • 3か月の検証プロジェクト
    • Ansible 初心者と上級者混在のメンバーで検証を実施
    • 当初は楽観的だったが、一部のコード生成の精度が想定より低いなどの問題があった
    • しかし検証中にも Ansible Lightspeed がアップデートされ、期待を満たすレベルに近づいた
    • 文字列や数値は Playbook に反映されやすいが、IPアドレスのような複雑な値はうまく反映されないことがあった
    • 1からPlaybookを作成するというハードルはさげられた
  • 最適な使い方
    • Guided chat で Playbook を生成。この時点では80点
    • Task generation で完成度を高める
    • Content explanation でドキュメントを生成

総じてうまく活用されていたようでした。事例が多くないので難しいのですが、今回のように初心者と上級者で構成されるチームはうまくいくのではないかと思いました。

あくまで想像ですがが、

  • 初心者だけですと、生成されたものをチェックできないなどの事情で活用しきれない
  • 上級者だけだと、必要性を見出しにくい

といったケースになるのではないかと思いました。

一方で、初心者と上級者の構成であれば、上級者がチェックしつつ、初心者の力をブーストできるような気がしました。

なお、こちらの内容は Ansible Automates 2024 Japan でも類似の発表がありました。

tekunabe.hatenablog.jp

新時代到来!! RHELデプロイとアップグレードの今と未来

RHELは再インストールなしでアップグレードできるという話や、Insights Image Builder、Image Mode for RHEL の話がありました。

Insights Image Builderは、物理でもクラウドでも利用できる RHEL イメージをビルドできるもの。

Web (console.redhat.com) で管理ができるようです。たとえば、AWS でも Azure でも共通のイメージを使えるとのことで便利そうでした。

docs.redhat.com

Image Mode for RHELVMを コンテナのような感覚で扱うもので、現在はまだ Tech Preview

Containerfile/Dockerfile と同じような書式で、FROMrhel9/rhel-bootc:latest という特殊なイメージ、RUN でパッケージ追加、などを指定して、イメージを作成できるそうです。

理解しきれていませんが、コンテナと同じように CI/CD パイプラインに組み込みやすかったり、リビジョン管理されるのでロールバックを一瞬でできる、などのメリットがあるそうです。何かしらの事情で、VM を コンテナのようにビルドしたいときには便利なのかもしれません。

www.redhat.com

仮想サーバーの移行・構築・運用を Ansible で自動化せよ!

Ansible の技術的な解説というよりも、自動化が求められる背景や、仮想化基盤のモダナイズの進め方の説明がメインでした。

「Turn key Deployment」という言葉を初めて知りました。鍵を回す感覚ですぐ使えることを指しているようです。

あと、なるほどと思ったのは、リードタイムが短縮されると、良い意味で使い方を変えられるという点です。今回、仮想マシンのデプロイのリードタイムを一週間から5分に短縮する例があげられていました。

このレベルで短縮されると、以下のような変化が見込めるという話でした。

  • Before: デプロイに時間がかかるため、既存のVMを大事に使いまわしてテストする
  • After: 必要な時に都度クリーンな環境でテストでき、本番リリースの環境差分によるリスクを低減できる

Red Hat Tech Night

17:00 からの枠は「Red Hat Tech Night」。

さらに技術的に濃い LT や、Red Hat のカルチャーについてのパネルディスカッションがありました。

LT の資料は以下のページにアップされています。

ossbyredhat.connpass.com

濃すぎて飲み込めない内容が多かったですが、お土産として持ち帰られたものだけ書き留めておきます。

ルールエンジンとLLMで嘘をつかないAIを作ろう

航空会社のAIチャットボットが、誤った返金ルールの回答をしてしまい、裁判沙汰になってしまった事例があったそうです。

このような事例を防ぐアイディアとして、チャットボットにおいて、必要な情報を得るまでを LLM に、規程(ルール)との照合をルールエンジン(Drools)にやってもらうという方式が紹介されていました。

この分野は詳しくはないのですが、役割分担の参考にしたいなと思いました。

また、Drools は Event-Driven Ansible の文脈でしか聞いたことがなかったのですが、活用方法が知れてよかったです。

www.slideshare.net

ブース展示エリア

セッションが行われる部屋とは別に、Red Hat の各製品や各社のブースが設けられているエリアがありました。

OpenShift Virtualization

あまりゆっくり回れなかったのですが、OpenShift Virtualization のブースでご説明いただきました。 「コンテナのように VMオーケストレーションするもの」程度の理解だったのですが、いただいたチラシで「Red Hat Enterprise Linux仮想マシンは無償・無制限で使用可能」であることを知りました。

www.redhat.com

Migration Toolkit for Virtualization (MTV) という VM 移行ツールの存在も知りました。

Red Hat Developer Hub

他にも Red Hat Developer Hub のブースも少し拝見しました。最近、Ansible のプラグインが登場したので、気になり始めています。

www.redhat.com

おわりに

久しぶりに Red Hat さん主催のオフラインイベントに参加できました。

はじめましての方や、お久しぶりの方含め、ごあいさつさせていただいた皆様、ありがとうございました!

オフラインイベントは会場の熱気や雰囲気が伝わってきてよいものですね。