はじめに
本ブログでは、3回に分けてレポートします。
- その1 参加編(本記事)
- その2 登壇編 自動化の行き着く先は?
- その3 ハッカソン編)
その1である本記事では、参加した本会議の各プログラムの一覧と、いくつかピックアップして感じたことなどをまとめます。
■ 参加したプログラム一覧
「★」は本記事ピックアップ対象のプログラムです。
Day1
Day2
- ネットワーク運用を楽にするチュートリアル ★
- 大上段に構える「運用」
- 自動化の行き着く先は? ★
- YANGがもたらしたもの
- JANOG43ハッカソンWrap-up & Winner
- 初心者歓迎! Lightning Talk大会 ★(うち1LT)
- JANOGアップデート
- LINEのネットワークをゼロから再設計した話 ★
Day3
- IDCフロンティア ネットワーク運用システムの課題と挑戦 ★
- ネットワーク上のコンテナネットワーク
- パブリッククラウド3社のプライベート接続サービス比較
- ホワイトボックスで2番目以降を走るコツ
- NETCONFを転用して、設定ファイルエディターをつくる話
- IETF技術文書をざっくり理解するためには
- 5G時代の到来と新しい技術・続く運用
- Telemetry Working Group最終報告
- 災害対応と今後
- 閉会宣言・次回開催予告
■ ネットワーク運用を楽にするチュートリアル
(プログラム説明ページから引用)
本セッションでは、ネットワーク運用者の負担を軽減するツールの例や開発のヒントを紹介することで、JANOGのみなさんがすぐにでも業務改善にチャレンジしていただけるようになることを目的としています。 そしてネットワークの業務改善のノウハウやアイディアを貯めていただき、次回JANOGハッカソンに挑戦していただけることを期待しています!
発表者
アーカイブ配信(2019/02/28 12:59 まで)
資料
本プログラムは概要編と実践編の2部構成でした。
概要編
自動化にも難易度やリスクによっていろいろ
概要編では自動化が求められる背景(スピードやスケール)や、自動化を小さく始めていきましょう、といったお話でした。
特に印象に残っているのは、P11 の「ネットワーク運用業務改善の一例」です。自動化とひとことでいっても、難易度やリスクが低いものもあれば、高いものがある、ということを示されていました。
まずは作業の整理、それから参照・通知系、設定系・・、と難易度とリスクが高くなっていきます。いきなり難しくてリスクの高いところを目指すのではなく、ステップを踏んで自動化をすすめて行きましょうと話をするときに、こういった基準があると良いと感じました。
実践編
WebAPI は怖くないし便利
実践編では、WebAPIとは何か、具体的なツールやコードが紹介されていました。 WebAPIは、おためしとして郵便番号検索API、実践サンプルとして LibreNMS のAPIが紹介されていました。
LibreNMS は初耳でした。ネットワーク機器のコンフィグ収集するツールであるRANCID や、oxidized などとも統合できるようです。
togetter まとめ
- #JANOG 43 Meeting Day 2 午前 - Togetter
- 2019-01-24 09:56:55 のツイート以降
■ 自動化の行き着く先は?
発表者
- 後藤 芳和さん (株式会社リコー)
- 横地 晃 (株式会社エーピーコミュニケーションズ)
アーカイブ配信(2019/02/28 12:59 まで)
資料
リコーの後藤さんと私が登壇したプログラムです。詳細は、レポートその2 登壇編でお伝えする予定です。
togetter まとめ
- #JANOG 43 Meeting Day 2 午前 - Togetter
- 2019-01-24 11:22:20 のツイート以降
■ LINEのネットワークをゼロから再設計した話
(2019/02/28 12:59 までアーカイブ配信あり)
発表者
- 小林 正幸さん (LINE株式会社)
アーカイブ配信(2019/02/28 12:59 まで)
資料
JANOG 39 で共有したインフラの課題解決や、新しい技術へのチャレンジとしてネットワークアーキテクチャを刷新したお話。技術的に圧倒されるものが目白押しでした。
シンプルな設計とはなにか
技術的な面で圧倒されたことはもちろんなのですが、特に設計思想がしっかりされている点が印象的でした。(資料 P4)例えば、シンプルなネットワークとはとは何かをきちんと定義していることです。
シンプルという言葉でまとめてしまうだけだと、認識の齟齬が出てしまったり、目指しているところがぶれてしまったりしそうです。ですが、このようにきちんと言葉の定義をしておくことで、本当に良い設計ができるのだと感じました。
togetter
- #JANOG 43 Meeting Day 2 午後 (7ページ目) - Togetter
- 2019-01-24 17:08:22 のツイート以降
■ ストレスフリーなオペレーション環境を目指して
「初心者歓迎! Light Lighting Talk大会」の中のひとつ。 www.janog.gr.jp
発表者
- 山田 千紗さん (株式会社ミクシィ)
資料
人の感情という軸の発見
もし私が同じ内容で発表するとしたら、タイトルに「自動化」を付けてしまうと思います。 つい自動化や効率化のように、機器やツール、作業の方に注目してしまうためです。 ストレス/ストレスフリーといった、人の感情という軸を私自身は持ってなかったので、新たな気付きになりました。
また、この日のどこかのプログラムできいた「自動化という言葉で考えると見えないこともある」という言葉を思い出しました。
■ IDCフロンティア ネットワーク運用システムの課題と挑戦
(2019/02/28 12:59 までアーカイブ配信あり)
発表者
アーカイブ配信(2019/02/28 12:59 まで)
資料
IDCフロンティアさんがネットワーク運用面で抱えていた課題に対して、どう取り組んできたかというご紹介でした。 大きく分けて、トラフィックの可視化、ネットワーク作業の自動化です。
設定を消すための工夫
後半のネットワーク自動化の取り組みの中で、設定を削除するときの工夫のお話がありました。(資料 P31)
Ansible Playbook で利用する Jinja2 テンプレートの中で、定義ありの時は通常のコマンド、定義なしの時は no
コマンドを生成するように工夫されていました。
宣言的ではなく、手続きベースの自動化場合、こういうった工夫が必要になります。
この点については、大変興味深いのでまた別の記事で深掘りしてみたいと思います。
(2019/02/18 追記) 「ネットワーク設定自動化に利用するインプット形式の分類(範囲、処理形式、表現形式別) - てくなべ (tekunabe)」という記事でネットワーク設定自動化に利用するインプット形式の分類についてまとめました。この分類では「[3] 部分宣言的パラメーター」に該当します。
コンフィグのシンタックスチェッカーとしてのコンテナNOS
パイプラインの中に、コンフィグのシンタックスをチェックするためにコンテナのネットワークOSを利用されている点も興味深かったです。自動化の仕組みも人が作るのでバグは発生し得ます。予期せぬコンフィグが生成されたことに設定投入前に検出することで、安全にする工夫なのだと思います。
また、質疑応答の時間で以下の質問をさせていただきました。(動画 37:25頃から)ありがとうございました。
togetter
- #JANOG 43 Meeting Day 3 午前 - Togetter
- 2019-01-25 09:55:19 のツイート以降
■ 懇親会
Day2の夜にはベルクラシック甲府にて、懇親会が開催れました。この写真の以外にももう1フロアあったというから驚きです。合計676名が参加されたそうです。
色々な方をごあいさつさせていただくなかで、このブログを見たという方もいらっしゃってとても嬉しく思いました。いつもありがとうございます。
■ まとめ
特に印象的だったプログラムをいくつかとりあげました。 他にも、プログラムがたくさんありました。2019/02/28 12:59 まではアーカイブ配信(対象のもののみ)もされているので、気になるものがありましたらチェックしてみてはいかがでしょうか。(Streaming Supporters各社みなさまありがとうございます。)
おまけ: JANOGミーティング 全国大会
本会議の会場であるコラニー文化ホール(山梨県立県民文化ホール)には「JANOGミーティング 全国大会」という催事案内の掲示がありました。全国大会は、規模感が伝わりやすい良い言葉だと思いました。実際、ここ3回は参加者1,000人を超えていますし、開催場所も様々です。稟議書に書くときに使わせて頂きたいと思います。