はじめに
2020/01/22-24 に札幌プリンスホテル国際館パミールで開催された JANOG45 Meeting in Sapporo に参加してきました。
本記事では、参加した本会議の各プログラムの一覧と、いくつかピックアップして感じたことなどをまとめます。
今回は、全体的に自分が興味があるレイヤーと違うところにも目を向けるべきだなと感じることが多かったです。ツールや機器の使い方だけではなくプロトコルや概念も、機器だけなく管理情報も、といった感じです。
■ 参加したプログラム一覧
「★」は本記事ピックアップ対象のプログラムです。ブース担当がメインだったため、今回は少なめです。
Day1
- 開会宣言・会場諸注意 :: JANOG45
- TDNOG1.5 :: JANOG45
- ルーティングのためのIPアドレス? :: JANOG45
- IRRの登録漏れでセカイのインターネットから隔離されかけたお話 :: JANOG45
- 宣言的(Declarative)ネットワーキング :: JANOG45 ★
Day2
- 急成長を支えるFastlyスケーラブル・グローバルネットワーク :: JANOG45
- 当日参加できませんでしたが、アーカイブ動画を拝聴し別途ブログを書きました
Day3
- インフラの運用を楽にする情報管理 ~我々のベストプラクティスはこれだ!~ :: JANOG45 ★
- 継続可能なテスト自動化を目指して :: JANOG45 ★
- ハッカソンWrap-up :: JANOG45 ★
- 携帯電話でIPv6使えてますか? :: JANOG45
- 閉会宣言・次回開催予告 :: JANOG45
■ 宣言的(Declarative)ネットワーキング
ネットワーク機器はコマンドという手続きで構成されるものなので、宣言的とはどういうことだろうと思って興味深く聞きました。
私が本プログラムに参加する前までに、かろうじて持っていた「宣言的」とは「レイヤー」としてのイメージでした。 例えば、河野さんが例にしていた「11ページを開く」であれば以下のイメージでした。
あとは「ネットワーク設定自動化に利用するインプット形式の分類(範囲、処理形式、表現形式別) - てくなべ (tekunabe)」あたり。
本プログラムで聞いた話は、イメージしていたものとは違って全然知らない世界だったので、少し基礎を学んでみようと思いました。やがて、ネットワーク自動化の考え方にも活かせるようになるかもしれません。
今回は初めて宣言的プログラミングという存在を知り、Day3のあとに MARUZEN&ジュンク堂書店 札幌店に行って、「すごいHaskellたのしく学ぼう!」という本を買ってきました。
■ インフラの運用を楽にする情報管理 ~我々のベストプラクティスはこれだ!~
情報の管理のあり方として、情報を一元管理することと、IFTTT / Workflow / Provisioning Service との連携することを取り上げられていました。
情報を一元管理しておかないと、複数の部署が似たようなスプレットシートを作ってしまい、冗長管理、不整合を引き起こしてしまいます。 一元管理、できるものを用意しても、みんなが同じものをきちんと利用し続けてくれるように、運用の仕組みや教育を整備したりすることも重要だと感じました。
自動化を始める上でも、正しい構成情報がないとはじめられない思うので、情報管理は効率化の基盤だと思いました。 地味ですが重要ですね。作業そのものより、事前に構成を調べたりすることに多くの時間を要することもありますし。
時々、海外の自動化関連の資料で、Single Source of Truth (SSOT)という言葉を見かけるのですが、関連がある気がしています。
今後、情報交換をするために、「運用を楽にする情報の管理方法を追求する人々の集まり」というslackも紹介されていました。さっそく参加させていただきました。
■ 継続可能なテスト自動化を目指して
テスト自動化を始めたあと、いったん下がってしてしまった自動化適用率を上げるための組織的、技術的な様々な取り組みについて。
要所要所で、振り返り(アンケート&インタビュー)、データ収集をされてるのが素敵だと思いました。また、1週目でコスト効果を出すのは難しく、4周目で3割位の機能でコスト効果が出た、という話があり、粘り強くやっていく必要性を感じました。
■ ハッカソン Wrap-up
JANOG42から始まって今回が4回目となるハッカソン。ネットワークにまつわる自動化、可視化などをテーマにモノを作るイベントです。今回は Day1 の午前(開会式よりも前!)から丸一日かけて開催されました。本ハッカソンのまとめと、優勝チーム、ベストチャレンジ賞受賞チームから発表がありました。
優勝チーム: 株式会社エヌ・ティ・ティ ネオメイト
テーマ: ネットワークの経路管理がしたい
インターフェースのリンク状態やトラフィック経路などの変化を把握するには時間がかかるので、画面から簡単に確認できるというものでした。
利用したツールは、以下のもの。
名前 | 今回の用途 |
---|---|
Cytoscape (厳密にはCytoscape.js?) | 経路グラフの可視化 |
Vue.js | フロントエンドフレームワーク |
Flask | REST API サーバー・バックエンド |
TextFSM | show コマンドパーサー |
デモも見れました。経路の可視化がすごい分かりやすかったです。
たまたまですが、以前私も Cytoscape.js を利用した経路の可視化を試したことがありました。うまく表示されると楽しいです。 スマホを振ってネットワークの経路を変える(動画)
ちなみに、JANOG43ハッカソンの優勝チームのテーマは「NW flowとDNS 名前解決を合わせたデータ分析」、JANOG44では「自動棚卸し」(インタビュー記事)でした。今回もそうですが、ネットワーク機器には設定変更を加えない Read 系処理が続いてるので、一定の需要や課題感があるのだなぁと感じました。
ベストチャレンジ賞受賞チーム: 北海道大学
テーマ: 鳥が飛んできます (ネットワークを介して鳥を撮影したい)
ベストチャレンジ賞というのは今回新設の賞。事前準備は含まず、ハッカソン当日にどれだけの成果を上げたかに焦点をあてた賞のようです。
研究のために仙台(確か)の沼に設置した鳥を撮影するカメラを、リモートからコマンド一発で撮影出来るようにしたもの。 構成などを当日にスタッフとも相談して決めたそうです。
こちらもデモが見れました。今までなかったようなテーマだったので新鮮でした。
さいごに
2月初旬に当日の各プログラムの動画のアーカイブが公開される予定とのことですので、JANOG Meeting の twitter アカウントなどでチェックしていきたいと思います。見れなかったプログラムが多かったのでとても助かります。
JANOGは 41から参加させていただいていますが、今回もとても楽しい時間を過ごすことができました。
ホストの 北海道総合通信網株式会社様、株式会社ネクステック様、協賛各社様、スタッフみなさま、登壇者みなさま、ありがとうございました!
参考・おまけ
toggetter
@goto_ipv6 さん、まとめありがとうございます。
写真
公式フォトブック
今回初の試みとして、Facebook にたくさんの写真がアップされました。
私と JANOG
- JANOG41 Meeting in Hiroshima 参加メモ - てくなべ (tekunabe)
- JANOG41で「勉強会のフィードバックから得られた自動化への壁」という発表をしてきました - てくなべ (tekunabe)
- JANOG41.5 で「もっと気軽に始めるAnsible」という発表をしてきました - てくなべ (tekunabe)
- 【JANOG42】私にとっての「つなぐ、つたえる、つみあげる」 - てくなべ (tekunabe)
- 【JANOG42】Ansible ネットワーク自動化チュートリアルを発表してきました - てくなべ (tekunabe)
- JANOG43 レポートその1【参加編】 - てくなべ (tekunabe)
- JANOG43 レポートその2【登壇編】自動化の行き着く先は? - てくなべ (tekunabe)
- JANOG43 レポートその3【ハッカソン編】スタッフ兼参加者として - てくなべ (tekunabe)
- [Batfish] JANOG43.5 で「ネットワークコンフィグ分析ツール Batfish との付き合い方」という発表をしてきました - てくなべ (tekunabe)
- JANOG44 レポートその1【参加編】 - てくなべ (tekunabe)
- JANOG44 レポートその2【登壇編】ここからはじめよう、運用自動化 - てくなべ (tekunabe)
今後の JANOG
- 2020/04/17 JANOG45.5 Interim Meeting (東京)
- 2020/07/08-10 JANOG46(沖縄)