はじめに
2024/07/03-05 に奈良県奈良市の奈良県コンベンションセンターで JANOG54 Meeting in NARA が開催されました。
今回はありがたいことに、登壇の機会とブース出展があったため、現地で参加しました。
来場者数は過去最多 3,249人だったそうです。大盛り上がりですね。
本記事では、当日に参加したプログラムアンケート締め切り前に視聴したいくつかのプログラムや、全体的な所感についてまとめます。
なお、各プログラムの詳細ページから資料や、アーカイブ動画が見れます(一部アーカイブなし)。アーカイブ動画は2025年1月下旬頃までの公開です。今回は期限がいつもより延長されています。気になるプログラムがあれば見てみてください。
また、参加された方はぜひアンケート回答を!(2024年7月26日(金) 23:59 まで)
なお、登壇したプログラム「自動化の教育ってどうやってますか?」については別の記事で扱う予定です。
[2024/08/09 追記] 投稿しました JANOG54 Meeting レポートその2: 登壇編「自動化の教育ってどうやってますか?」 - てくなべ (tekunabe)
参加プログラム
商用サービスインフラにおけるSONiCスイッチ障害交換運用の実際
SONiC の使われ方と ZTP の実現方法が気になったので参加しました。
資料 P18 にあるように以下の範囲をZTPでカバーしたそうです。
- OS イメージ投入
- 初期Config投入
- Config以外の追加設定
ZTP サーバーは Apache HTTP Serverで準備。
ディスカッションパートでは、ZTP でどの範囲のコンフィグを投入するのがよいかという議論がありました。
今回紹介されたケースでは、いったん投入したらそうそう変更しない性質だったため、ZTPで一通りのコンフィグを投入したそうです。 そうではなく、コンフィグ生成テンプレートの修正が見込まれる場合、SSHでの疎通ができるところまでは ZTP で投入し、そのあとのコンフィグは Ansible などで投入するとよいのでは、という話がありました(Yahoo! JAPAN での例)。
すみわけについて勉強になりました。
あと、ONIE を初めて知りました。今回は SONiC の OSイメージ自体の導入を ONIE が持つ仕組みで行ったそうです。
OpenConfigを活用したNW検証業務自動化への取り組みと課題
(アーカイブなし)
このプログラムでは、手動では検証できない検証項目(1500以上)をこなすために、OpenConfig による検証自動化した結果のお話がされていました。
OpenConfig は以前から興味がありましたが、近況や詳細を追えていなかったので参加しました。
「Ondatra」という、OpenConfig の利用とした検証自動化フレームワークを初めて知りました。
テストとポロシーの定義ファイルと、検証項目の定義ファイルを書き、go test
コマンド経由で検証するそうです。気になるので後で調べてみたいと思いました。
gNOI(gRPC Network Operations Interface)という言葉も初めてしりました。gMNI とはまた別ものなのですね。gMNI が状態取得や設定変更であるのにたいして、gNOI は ping や reload などの機器操作を担うものだそうです。言われてみると確かに性質がことなるものですね。
P22の「NW機器からの情報取得」、やはりパースが不要なのはうれしいですね。
P28 で紹介されている「各ベンダで対応しているYANGモデル情報の確認方法」、こういうのは本当にありがたいですね。慣れないと(慣れてても?)対応するパスが見つけにくかったりするので・・。
OpenConfig そのものだけではなく、周辺を取り巻くツールや仕様をセットで知れて、大変ありがたかったです。
全体的には、OpenConfig は便利であるものの、機器側の対応状況に左右される部分も大きいという印象でした。
プログラム終了後の替え玉エリアでも登壇者お二方を会話させていただきました。ありがとうございました!
技術的負債と向き合い、ネットワークアーキテクチャの改善とモノの管理、コスト構造の見直しに取り組んだ話
大変なご苦労されたことがにじみ出るプログラムでした。複雑になり続けたネットワーク構成を、腹をくくって責任感を持ち、改善し続けてこられた様子に尊敬するばかりでした。
原価算出ロジックが実態とあっていない、などコスト構造を見直すといった取り組みもされていて、技術だけでなく、幅広い知識が必要とされていたことが分かりました。
ツール面でいうと、資料には記載はありませんが Containerlab が登場しました。ネットワークの検証環境を構築できるツールです。過去の JANOG Meeting でもちらほら名前は出てきましたが、実際はどのような使われ方をされているのかに関心がありました。今回の場合は、Containerlab で予め検証して、問題がなければ本番環境にも投入するというプロセスにしているそうです。
ディスカッションパートでは、過去に担当されていた方がマイクの前に立ち、当時は最善だと思ってやっていたが・・、という話がありました。敬意を表したいですね。このような話になあるのも、さまざまな立場の方が集まる場ならでだなと思いました。
こちらのプログラムも、終了後に替え玉エリアでお話をお伺いできました。ご対応いただきありがとうございました!
アーカイブ視聴予定
当日参加できたプログラム以外にも、興味深いプログラムがあるため、アーカイブが公開されているうちに視聴しようと思います。
なお、これまでアーカイブが残るのは1か月程度でしたが、今回は半年(2025年1月くらい?)になったそうです。ありがたい!
主に以下のプログラムを中心に視聴予定です。
- 限られたヒトとカネの中でのネットワーク構築運用 - JANOG54 Meeting in NARA
- 分野を超えた視点で異分野エンジニアがNWの異常検知に挑戦~高精度ネットワーク監視への工夫と課題~ - JANOG54 Meeting in NARA
- NWエンジニア的RPAの使い方 -作業・テストの自動化を考える- - JANOG54 Meeting in NARA
- 生成AI向けパブリッククラウドサービスをつくってみた話 - JANOG54 Meeting in NARA
- ゼロから創る!競技系イベントネットワーク実例紹介 - JANOG54 Meeting in NARA
- ネットワークオペレーションにおける生成AI技術の活用検討について - JANOG54 Meeting in NARA
- けしからん連合ネットワーク改め、Japan Open Network にようこそ! - JANOG54 Meeting in NARA
- NTT 法改正 – ネットの将来を描く JANOGer と共に挑戦する - JANOG54 Meeting in NARA
プログラム以外
プログラム本編以外で感じたことです。
替え玉エリア
前回の JANOG53 Meeting in HAKATAに続いて、今回も「替え玉エリア」が設けられました。
いわゆる「Ask the Speaker」的な場で、発表が終わって本編を締めたあと、廊下のようなばで個別に質問や議論、名刺交換をできる場です。ラーメンの替え玉が由来のようです。
今回の場合、部屋の外に丸いテーブルとホワイトボードがあり、そこが替え玉エリアの目印でした。
プログラム本編でも質疑応答の時間が設けられ、そこでの話は参加者にも自然と共有されます。しかし、大勢の前でマイクの前に立つのは緊張してしまったり、時間の制約で話せない場合もあります。そんなときの救済措置としてとても有効に機能しているように思いました。
「気になることあればあとで捕まえて声かけてください」というのもなかなかハードルが高い場合もあるので、公式の場があるのは助かります。場所と時間の制約はあるものの、逆にその制約が行動の後押しになって、コミュニケーションのハードルがさがっている気がします。
実際に、私もいくつかのプログラムで替え玉エリアで有意義なお話をお伺いできました。
Slack のプログラムごとのチャンネル
こちらも前回の JANOG53 Meeting in HAKATAくらいから始まった記憶があるのですが、今回もプログラムのごとの Slackのチャンネルが用意されていました。
たとえば「自動化の教育ってどうやってますか?」というプログラムであれば、チャンネル #janog54-ansible-自動化の教育ってどうやってますか といった具合です。
以前は、会場の部屋単位でのチャンネルでした。最近はプログラム単位でのチャンネルなので、そのプログラムに関心がある人だけが集まっているはずです。そのため、以前と比べると書き込みのハードルも低くなっているのではないかと思います。時間が経って情報が錯誤しない点もメリットです。
キッチンカー
会場敷地内に、キッチンカーが数台来ていました。
ちょっとした隙間時間でもさくっと頼んで食事がとれるので、とても便利でした。2日目、3日目はキッチンかーを利用させていただきました。
あと、コーヒーのサービスもありました。コーヒー大好きなのでありがたく頂戴しました。
キッチンカーでコーヒーサービス(無料)があります。
— JANOG Meeting (@janogmeeting) 2024年7月3日
毎日無くなり次第、終了となります。
ネームカードがある方のみに提供します。
ぜひお立ち寄りください! #janog 54 pic.twitter.com/Falz9EjNjf
地域に染み出るJANOG
現地参加するたびに思うのですが、 地域に JANOG が滲み出ててる感じが好きです。
おわりに
久しぶりの現地での参加で大変な熱気を感じることができました。はじめましての方にも、お久しぶりの方にもお会いしてお話ができました。
スタッフのみなさま、登壇者のみなさま、ホスト企業のみなさま、ブースで対応いただいたみなさま、楽しい3日間をありがとうございました!
次回の JANOG55 Meeting は 2025/01/22-24 に京都で開催予定だそうです。近畿地方が続きますね。会場のみやこめっせは趣味の関係で行ったことがあるので、個人的に親近感があります。
参考
各プログラムごとの関連記事など
show int さんの関連動画
ふりかえり動画
前編
後編
togetter
実況ポスト、まとめありがとうございます。
私と JANOG のこれまで
- JANOG54 Meeting レポートその2: 登壇編「自動化の教育ってどうやってますか?」 - てくなべ (tekunabe)
- [https://tekunabe.hatenablog.jp/entry/2024/02/04/janog53
- JANOG52 Meeting 参加レポート - てくなべ (tekunabe)
- JANOG51 Meeting 参加レポート - てくなべ (tekunabe)
- JANOG50 Meeting in Hakodate 参加・登壇レポート - てくなべ (tekunabe)
- JANOG49 Meeting in Kagoshima 参加レポート - てくなべ (tekunabe)
- JANOG48 Meeting 参加レポート - てくなべ (tekunabe)
- JANOG47 Meeting in Fukuoka 参加レポート - てくなべ (tekunabe)
- JANOG46 Meeting in Okinawa 登壇・参加レポート - てくなべ (tekunabe)
- JANOG45 Meeting in Sapporo に参加して視野を広げる必要性を感じた - てくなべ (tekunabe)
- JANOG44 レポートその1【参加編】 - てくなべ (tekunabe)
- JANOG44 レポートその2【登壇編】ここからはじめよう、運用自動化 - てくなべ (tekunabe)
- [Batfish] JANOG43.5 で「ネットワークコンフィグ分析ツール Batfish との付き合い方」という発表をしてきました - てくなべ (tekunabe)
- JANOG43 レポートその1【参加編】 - てくなべ (tekunabe)
- JANOG43 レポートその2【登壇編】自動化の行き着く先は? - てくなべ (tekunabe)
- JANOG43 レポートその3【ハッカソン編】スタッフ兼参加者として - てくなべ (tekunabe)
- 【JANOG42】Ansible ネットワーク自動化チュートリアルを発表してきました - てくなべ (tekunabe)
- 【JANOG42】私にとっての「つなぐ、つたえる、つみあげる」 - てくなべ (tekunabe)
- JANOG41.5 で「もっと気軽に始めるAnsible」という発表をしてきました - てくなべ (tekunabe)
- JANOG41 Meeting in Hiroshima 参加メモ - てくなべ (tekunabe)
- JANOG41で「勉強会のフィードバックから得られた自動化への壁」という発表をしてきました - てくなべ (tekunabe)